たといわれ


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2017年04月15日(Sat)
たといわれ

   
   「たといわれ」



 私は祖国を
 こんな絶望的な
 戦に引きずりこんだ
 軍部を憎んでいたが、
 私がこれまで
 彼等を阻止すべく
 何事も賭さなかった以上、
 今更彼等によって
 与えられた運命に
 抗議する権利はないと思われた。

 一介の無力な市民と、
 一国の暴力を行使する組織とを
 対等に置く
 こうした考え方に
 私は滑稽さを感じたが、
 今無意味な死に駆り出されて行く
 自己の愚劣を笑わないためにも、
 そう考える必要があったのである



   大岡昇平『俘虜記』



 これは反戦ではなく
 民主主義の義務だと思います